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駄目な大人
子供の頃、なんてだらしない大人だろうと思った。
いつも猫背。いつも眠そう。ゆったりとした動作と、手には毎回同じエロ本。
時間にルーズで指導も適当。何も教えてくれないくせに小さなミスも見逃さない。間違えている時点で教えてくれればいいのに、全部終わってから指摘する。ほんの一言注意してくれればこんなに手間をかけずにすんだのに。
そんなことが何度もあった。
なんてだらしない大人。
なんて尊敬できない大人。
あの人は何一つ教えてくれなかったけれど、たったひとつだけ大事なことを教えてくれた。
あんな大人にだけはなってはいけない。
現在、私は十六歳。
教えを乞う師匠は変わったけれど、里に残ったあの人の弟子は私一人になっていた。
教えられることはこれが最後。
そう呟いて異性の肌と腕の感触を教えられたのは二年前。 身体の内から血が流れ、硬かった身体が柔らかくなり始めた時期。
あの人の腕の中で私は女になった。
自分で考え、実行することで成長を促す。そんなあの人の方針から外れた、それは最後の指導だった。
箍の外れた感覚と甘い痛み。そして、綺麗なあの人に触れた幸福を教えられた。
あの人は優秀な教師だった。心も身体も女になっただけではなく、ただの一度で浅ましい雌にさせられた。最後の指導の後はしばらく、心も身体も鳴いて大変だった。
あの人が欲しい。あの人が欲しいと。
心と身体が鳴いた。啼いた。
啼き濡れた。
子供の頃、だらしない大人だと思っていた。どうしようもない大人だと。
でも、今は駄目な人だと思っている。
強くて強くて強くて、けれどもろい人。
綺麗で綺麗で綺麗で、でもこの世界の汚さを誰よりも知っている。
駄目な人だ。
どうしようもなく駄目な人だ。
だから。
私はあの人を抱きしめる。
強くて綺麗で賢くて、でも何もかも失ったあの人を。何もかもあきらめたあの人を。
彼もあいつも去ってしまったけれど、私も離れてしまったけれど、でも抱きしめられる距離にいる。触れられるほど近くにいて、手を伸ばさない理由はない。
私は綺麗になる。強くなる。賢くなる。
そしてこの身体を磨く。
雌であることにこれほど感謝したことはない。この柔らかい身体で、甘い肌で、しとどに濡れる泉で、あの人を少しでも癒せるのなら。
あの人を手に入れられるなら。
私はいくらでも駄目な大人になる。
「カカシ先生」
「んー?」
腕を伸ばして、抱きしめて、その唇に口付けて、舌を絡ませて、唾液を啜り、柔らかい身体を押し付けて、あの人の服を脱がす。あの人の肌に私の痕を残す。
駄目な大人になるために。
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